営業力を殺す!Salesforce(CRM/SFA)活用の最悪なアンチパターン

多くの企業が導入し、営業活動の効率化と売上向上を目指すCRM/SFA(顧客関係管理/営業支援システム)。その代表格であるSalesforceも例外ではない。しかし、せっかく高機能なシステムを導入しても、使い方を間違えると、かえって現場の士気を下げ、肝心なデータの入力が滞り、システムが「形骸化」してしまう。

ここでは、特に注意すべき「上層部が引き起こしがちな」アンチパターンと、それを避けるための具体的な方法を解説する。

アンチパターン:「全コミュニケーションの記録」を邪魔する上層部の行動

CRM/SFAを真に活用する目的は、「可能な限り、すべての顧客コミュニケーションをデータとして蓄積し、そこから示唆を得て、戦略的な意思決定を行うこと」にある。

しかし、この根幹を揺るがす最悪なアンチパターンが、「確度の低い商談に対する、売上責任者からの過度な干渉」だ。

現場の「入力したい気持ち」を削ぐ構造

売上責任を持つ上層部にとって、特に大口顧客や重要リードの動向が気になるのは当然だ。そのため、ついやってしまいがちなのが、以下の行動である。

  1. システムに低確度で入力された商談やリードを見つける
  2. 担当営業にすぐに連絡し、状況の詳細な確認や、「確度を上げろ!」といったプレッシャーをかける

現場の営業担当からすれば、これは非常に厄介な「トラッキング(監視)」行為に他ならない。

  • 「まだ初期段階でどうなるかわからないのに、細かく説明しなければならないのか…」
  • 「確度が低いと、またプレッシャーがかかる。だったら確度が上がるまでツールに入力しないでおこう

この悪循環こそが、CRM/SFAが目指す「すべてのコミュニケーションの入力」を停止させてしまう最大の原因だ。担当者は、余計な干渉を避けるために、ちょっとした情報(例えば、たまたまエレベーターで顧客と交わした他愛のない会話)を隠蔽するようになる。