己、新聞購読やめるってよ。新聞購読の価値低下の理由

「自業自得」?新聞購読者減少の裏側と、紙媒体の真の価値

近頃、一般新聞の購読者数が減少しているというニュースをよく耳にする。ある意味、これは「自業自得」とも言える状況かもしれない。なぜなら、多くの新聞社は、ネットでニュースが読める現代において、紙媒体である自分たちの真の長所を理解しきれていないように見えるから。

ネットがあれば無料で、しかもリアルタイムにニュースが手に入る時代。なぜわざわざ物理的な新聞を購読するのか?その答えを見出せていないことが、購読数減少の大きな要因。

新聞の最大の「武器」はレイアウトと網羅性

実は、物理的な新聞が持つ最大の価値は、そのレイアウト(紙面構成)にある。たった30ページ程度の限られたスペースで、前日の主要なニュースを満遍なく、偏りなくカバーしている。これこそが、紙の新聞の最大のメリット。

ネットニュースに頼りきっていると、私たちはどうしても「自分から興味のあるニュース」だけを能動的に読みにいくことになる。その結果、興味のないジャンル、例えばスポーツの結果や経済の動向など、「情報がまったく入ってこないジャンル」が存在してしまうという大きな欠点がある。

一方、物理的な新聞であれば、ページをめくるという行為の中で、たとえ興味がなくても、スポーツの結果や政治のニュースのタイトルだけでも否応なく目に入ってくる。これにより、自分の関心の外にあったニュースにも「少なくとも何かがあった」という認識を持てるのだ。この「興味のないニュースとも出会える状況」をつくれることこそが、紙媒体の新聞が持つ、情報摂取における最大の利点。

地域の情報と広告も重要な役割

そして、もう一つの大きな利点が「地元の広告」、特にスーパーマーケットなどのチラシだ。これもネットで見られるようにはなったが、「能動的にそのサイトやアプリを開いて読みにいく」のは意外と大変。

それに比べ、新聞に折り込まれて物理的に配信されてくるチラシは、有無を言わさず目に入り、何しろ目立つ。見やすさという点でも優位性がある。

しかし、皮肉なことに、購読数の減少に伴い、スーパーマーケット側も宣伝効果の薄れを感じ、費用対効果の高いネット広告へと切り替える傾向にある。チラシが減る → チラシを目当てにしていた購読者が減る →さらに購読数が減る → 広告効果が薄れるという悪循環に陥っているのが現状。

変われない体質からの脱却を

話は変わるが、現状の新聞社が「イケてない」と思われてしまう理由の一つには、「変われない体質」がある。未だに「夕刊」を続けていることなどに、その体質が色濃く現れていると言える。ネット時代における情報提供のあり方として、その役割がどこまで残っているのか、真剣な検討が必要だ。

新聞が生き残る道

では、どうすれば新聞の購読数を回復できるのか?

結局のところ、新聞が強力に押し出すべきメリットは「物理的に毎日決まった時間に届く」ことと、「偏りなく一般的なニュースを網羅できる」という、紙媒体だからこその根源的な利点を再認識し、強化することに尽きる。

この「情報との偶然の出会い」を提供し、「情報の偏り」を是正できるというメリットをしっかり打ち出していけば、紙の新聞はネットニュースとも十分に「戦える」はず。